COLUMN
ベップニュースタンダードができるまで 「BEAMS JAPAN」鈴木修司さん
2016年から続く、ビームスと大分県別府市のコラボレーションプロジェクト「BEAMS EYE on BEPPU」から派生した「ベップニュースタンダード」(以下、ニュースタ)。ビームスジャパンのバイヤー、鈴木さんが中心となり、選考された事業者とディスカッションを重ねて、地元のみやげものに“あたらしい”意志や価値を吹き込んできた。そんな、作り手のみなさんにとって先生のような兄貴のような存在の鈴木さんに聞く、「ニュースタ」の魅力とは?
「ざぼん漬けのパッケージのキャラクター見ました? ざぼん漬けは、すごく美味しいけれど、“昔のお菓子”というレッテルが貼られていたので、もう一度ざぼん漬けをブームにしましょう!と、かわいい“ザボンちゃん”のキャラクターを作って売りました。10個にひとつウィンクしてるざぼんちゃんがいるんです。今回別府に来たら、ザボンちゃんが別な商品のパッケージでも使われていて。もうザボンちゃんが一人歩きしてる!とうれしくなりました。『ニュースタ』って、いろんなことが派生していく面白さがあるんです(笑)。
ビームスは、これまで色々な自治体の仕事を受けてきました。僕も三重県生まれの地方出身者なので、地方に東京から人がきて、好きなことだけ言って終わるのはすごく嫌だった。なので今回事業者のみなさんには、一緒に“良いものづくり”ができるのは価値あることだけど、それだけでなく、別府の街全体の役に立てるお仕事をしてくださいと、口酸っぱく伝えていましたね(笑)。
例えば、しいたけの〈やまよし〉さんの製品のパッケージを〈イロカミ〉さんが作ったりとか。そういう事業者の横のつながりから生まれたものも出来てきて、“ああ、みんなに想いが通じてるな”と思っていたら…「BEAMS EYE on BEPPU」の販売期間中に、新たに“ベップニュースタンダード”の名前でマーケットをやっていて(笑)。イロカミの樋口君に声が掛かって生まれた自発的な企画だと知ったのですが、その後別府に行ったら樋口君が、『鈴木さんに怒られる……』と(笑)。怒るどころか、僕たちはこういうことをやって欲しかったからうれしいと伝えましたね。とは言っても、何年後かにこういう動きがあればいいなと思っていたので、そこは別府の人の気質なのか、企画の最中に勝手に始まっちゃってて(笑)。想像をこえた自主性に驚きつつ、本当にうれしかったですね。ほかの地域ではなかなかない、別府らしい動きだなと思っています。
僕らのプロジェクトも次の段階に入り、新たなものづくりが始まっています。これからどんなドラマがあるか……(笑)、また、別府らしい人やものに出会えるのが楽しみですね」
写真:熊谷直子
PROFILE 鈴木修司/1976年生まれ。三重県松坂市出身、鎌倉在住。「BEAMS JAPAN」ディレクター、バイヤー。日々全国各地を飛び回り、様々な日本の文化を発信している。